「パートナーズ」名古屋キャンペーン

2010年11月27日 コメントがありません by 名古屋アートライフ編集部

現在、名演小劇場で公開中の「パートナーズ」にご出演の浅利陽介さんのインタビューをお届けいたします。


■今回は犬との共演でしたがいかがでしたか?

浅利陽介(以下、浅利):僕は、小さい時から犬を飼っていて、物心ついた時には犬がいる生活が当たり前だったんですね。小学校2年生くらいの時に2匹目の犬を飼ったんです。
それは、ランディっていうんですけど、なんでランディっていうかというと、阪神のランディ・バースからとったんです。愛知なのにすみません…(笑)。その犬ともずっと過ごしているので、この『パートナーズ』のお話を頂いた時に、犬とずっと一緒にいられる映画だということで、すごく楽しみでした」

■実際現場に入ってみてどうでした?

浅利:「そうですね・・・実際現場に入る前に、訓練ということで神奈川県にある盲導犬訓練センターに行ったんです。そこに1週間ちょっとですけど、合宿という形で行かせて頂きました。その時に盲導犬訓練士という立場がどのようなものか初めて理解したんです。(盲導犬訓練士は)パピーウォーカーとユーザーの間にいるんです。で、盲導犬はさらにその間を行ったり来たりする。盲導犬訓練士は(それぞれの間に)ラインを引いてあげる立場なんです。
パピーウォーカーは一年間、盲導犬と暮らして、お別れをするときとても悲しいんですけど、犬にはさよならなん分かんないっていうことを伝えてあげなければならない。まずはそこをバシッっと切るんです。だから訓練士は厳しくないといけない。それから、今度は、盲導犬を(訓練士が)育て上げる為に、パピーウォーカーから頂いて盲導犬になるまで、お預かりする。そこで大事なのは、誰もが使える盲導犬に訓練すること。厳しくするだけじゃなくて、楽しませる・・・人間といることが楽しいと盲導犬に思わせることが大切。訓練士は、ユーザーに盲導犬をお渡しする時に、盲導犬との接し方を教えるんです。しかし、それは、本当に基礎だけ。その後は2人で生活していかなければいけないので、またそこで、訓練士は“切る”んです。ユーザー&盲導犬との間の関係も厳しくしなければならない。それを撮影前の合宿で学びました。
盲導犬は撮影を訓練の一貫だと思っているんです。なので、むやみやたらと触れないんです。撮影現場のスタッフはみんな犬が大好きで、触りたくてしょうがないんですけど、触れなくてやきもきしてました(笑)。僕はその現場を間近で見てたんですけど、僕の役は犬と接する時間が長いので、それを利用して・・・まぁ、犬をリラックスさせるのが僕の大義名分なんで、めっちゃ触ってましたね~。“かわいい~”って(笑)。

■実際このような(動物がたくさん出る)映画は初めてでしたか?大変でしたか?

浅利:そうですね初めてです。大変な部分は・・・。監督もおっしゃってたんですけど、動物と子どもには泣かされるっていうセオリーがあるらしいんです。僕も、確かに(動物は)時間がかかるだろうと思っていたんです。
でも、そんなことなくて、むしろ僕が足を引っ張ってるんんじゃないかっていうくらいNGを出したり、“浅利~!!!!”って怒鳴られるのが多々ありました。なので、動物や子役の子に泣かされるということはなかったですね。
現場に本物の訓練士の方や、演出部の犬係さんっていうのがいて、その2人は本当にてんてこ舞いで、犬の気を引くためにカメラ前でおもちゃを持って“ヘレナ(犬の名前)~!ヘレナ~!!”ってやってました(笑)それは大変そうでした。それ以外は、全然です。犬は指示通り動いてくれました。

■大塚ちひろさんとの共演はどうでしたか?

浅利:実は共演するのは2回目だったんです。一回目(「いま会いにいきます」で主役の学生時代を演じている)の時は、年上の女性とどう接していいか分からず、なかなか話せなかったから、今回は自分がリードしようと意気込んでいたんですけどやっぱりだめでしたね(笑)。引っ張られている気がしました。大塚さんは、目の見えない役だったので、特殊なコンタクトレンズを入れて撮影に臨んだんですけど、あのコンタクトは本当に痛いらしいです。撮影陣も、なるべくすばやく撮影するようにしていたんですが、大塚さんはとても忍耐強い方なんで、“大丈夫です!”って言いながら頑張っていました。

■夏八木さんとの共演はどうでした?

浅利:大先輩だし、役の関係上的にもあまり話していいものか分からなかったのですが、とてもお若い方だなという印象でした。よく動くし、よく笑うし、スタッフにも優しいし、見習うべきところが本当にたくさんありました。あと、現場に僕が黒胡椒せんべいを持っていったんですけど、それをすごく気に入ってくれて、“おいお前、これめっちゃうめぇじゃんかよー。どこで買ったんだよ”っておっしゃってくれて、(黒胡椒せんべいが購入できる)住所をお渡ししたら“ありがとなぁ!俺絶対買うわ”って言ってくださって、僕にも優しく接してくれました(笑)

■結果的には、やりがいのあることを見つけた青年の役でしたが、それを見つけるまでの過程を演じてどうでしたか?

浅利:役自体は暗いですよね(笑)。人が死ぬところから始まるし、底辺ですよね。でも、その感覚は僕にも分かる部分があるんです。未来に対して絶望的というか・・・。正直どうなるかなんて分からないじゃないですか。僕の場合は、いつ死ぬんだろうとか、芸能界でやっていけるのかとか、そのうち潰されるんだろうか・・・って考え込んで凹んで嫌になった時期はありました。なので、自分の中にひとつ、そういう引き出しがあったので、小山内(浅利演じる青年の名前)の役の型に当てはめて演じました。
(訓練士になる)きっかけは、小山内の場合は、先輩が死んで、その先輩が偽っていた職業が盲導犬訓練士だったことから、盲導犬訓練士という職業を知る。何だそれっていうところから始まり、そこから訓練士になろうって思うんですね。でも、その動機も不純で、別に犬が好きなわけでもないし、ただ、一生食っていける仕事ってことで選んだのが訓練士。ただ、僕はそれで十分だと思うんですよ。それって、かなり(仕事に対して)責任があるし、自分のことを考えてるから。
僕の場合は、周りの俳優さんや現場の人をみていて、周りはその作品に対して一生懸命答えを出そうとしている。僕ももちろん答えを出そうとするんですけど、出来なくて、悔しくて、それが嫌で嫌で仕方なかった。負けず嫌いなんです。それがきっかけで、俳優の仕事で必要なものそうでないもの、してはいけないもの等を発見していけた。
小山内の場合は、犬と接して楽しい。こんな楽しいことが仕事でいいのかというのが率直な感想だったと思うんですね。その中で一番になるには、訓練士(の先輩)の技術を盗めばいいと思うわけです。そこまでは自信満々なんです。でも、チエ(小山内が担当する盲導犬)が動かなくなった時にはじめて挫折をする。僕もそういう経験はあります。この映画の時もそうなんですけど、“これでいいんだ”という確信をもって、撮影に入る前にボルテージを高めるために音楽を聴いていたんです。でもよく考えてみたら、その行為って、“孤”に入っちゃってるんですよ。現場全体を見れていないし情報も入ってこないし。もちろんボルテージを高めることは大切なんですけど、人からパワーを貰うってことは大切だと思ったんです。それがこの映画を通して感じたことですね。まとまってますか(笑)?

■今回初めて知ったことが多かったり、役と共に模索しながら演じたこと等を通して、得たものはありましたか?

浅利:得たものはいっぱいありますよ~。まず、ラブラドールはめちゃくちゃ頭がいいです(笑)。しかも愛嬌もあるし!それに、サイズも色もバラバラで・・・僕が犬を飼っていたとき、一頭しかいなかったんですけど、あそこ(盲導犬訓練センター)にはいっぱいいるので、犬と一口に言っても十人十色なんだなぁということが分かりましたね。あとは、訓練士の方がおっしゃっていたんですけど、なにか共同訓練をする時に、何を目標とするか・・・プラン立てをするんです。観察して、考察する。その後にプランを立てて、実行する。そして検証。最後にまた観察に戻る。そのサイクルで何事もやるんですけど、なるほどと思いましたね。これは、何にでも共通して言えることで、基礎を教えて頂けました。自分の仕事もそうだし・・・。
例えば、台本をみる。はじめは全体を見るんです。次にここのシーンではどうしようって考えて、色んなプランを自分なりに立てるんです。そして、現場に行った時、監督に自分のプランを話す。それを一回やってみるんです。それがよければ、後の検証・観察は出来ないんですけど、番組が出来上がったら出来ることだし、まぁ、反省しか出ないんですけどね(笑)。
それと、犬は、オンとオフが分かるんですよ!撮影のとき、本番の合図でカチンコが鳴るんですけど、ちゃんと止まっていられるんです。で、カットがかかると、“あ~お疲れさまでした~”(実際に犬の表情の真似をしてみせる)みたいな感じなんですよ。それが、すごいなぁと思いました。特に撮影の後半になってくるとそれが如実にみえて、あぁ、犬も僕たちと一緒に成長してるんだなと思いました。

■頭の盲導犬を育てるのに、色々な過程を経るわけですが、映画を通して何を一番伝えたいですか?

浅利:犬って、当たり前ですけど、喋れないんです。だから、人間がしっかり見ていてあげないといけないんです。気づいてあげることがすごく大切なこと。人間の接し方次第で、性格はどうとでも変わってしまう。だから、愛を持って接するということがすごく大事なんだと思いました。これは、犬に対してだけではなく、人間同士でも同じこと。大切なひとが、なにを楽しいと思って、何を考えているか。それに気づいてあげることなんです。一緒にいる時間が長いと、だんだん忘れちゃうじゃないですか。存在が当たり前になってしまう。はじめのうちは新鮮だからなんでも楽しいんですけど、いる時間が長くなればなるほど空気みたいな存在になってしまう。それって本当はいいことだから、そういう存在の人に愛を持って接することは大事だということを伝えたいと思いますね。自分のパートナーは、当たり前にいる存在だけど、そのひとたちのおかげで自分が存在しているということを強く感じました。

【編集後記】
ドラマや映画でみる浅利陽介さんは、その辺にいるような人間を個性豊かに、でも親近感ある人物に演じられるすごい役者さんだなという印象でした。
実際お会いしてみると、その巧みな演技力とは到底かけ離れた、とても正直で裏表のない人。本当に“素”という感じで、こちらに緊張感を与えないよう、気配りの出来る青年でした!
インタビュー中も冗談交じりに楽しく答えていた浅利さんでしたが、この映画を通して得た一番伝えたいことを語る視線と言葉にはとても力がこもっていました。
訓練士の特訓も受け、命あるものとの様々な交流を積極的にした浅利さんだからこその答えだと思います。
みなさんも、映画を見て、人との繋がりについて考えてみてください。
[report by トミー]

公開日

2010年11月6日(土)

詳細情報

監督 : 下村優
出演 : 浅利陽介、大塚ちひろ、村田雄浩、川上麻衣子、近藤理沙、根岸季衣、熊谷真実、夏八木勲

劇場情報

【映画館】名演小劇場
【電話】052-931-1701
【休業日】なし

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