「マザーウォーター」名古屋キャンペーン

2010年10月30日 コメントがありません by 名古屋アートライフ編集部

現在、ミッドランドスクエアシネマほかで公開中の「マザーウォーター」出演、小林聡美さん、もたいまさこさん、加瀬亮さんインタビューをお届けします。


■この映画の空気感は今の時代だと異色な感じがします。現場の雰囲気はどうだったんですか?

小林聡美(以下、小林):他の現場では分かりませんけど、この現場はすごくリラックスしていて、物理的には、時間を急かされたりとか、夜遅くまで働いて寝ないで朝早く起きてやってという肉体的な辛さがないので、みんなゆるやかにやっています。あと毎回出るごはんも、みんなが美味しいと思えるものを選んでくださったり、細かいところも心がこもっているというか。そういう雰囲気が現場の雰囲気をよくするのに繋がっているんだと思いますね。
もたい:このチームの映画に来ると、リラックスできるような気がします。スタッフも私たちもプライベートな写真を撮ったりしてて、お互い撮ったり。みんな楽しそうにしてて、しかめっ面をして仕事をしている人がいないですね。本当に生き生きしてて、どこにいっても誇れると思います、役者だけじゃなくてスタッフも楽しんで現場にいてくれるということが。
加瀬亮(以下、加瀬):僕は「めがね」から参加したのですが、今までの撮影場所が普段から切り離されたゆっくりと時間の流れている場所だったので、行くと自然と(自分の中の時間の)流れ方が変わっていく感じでした。本作の舞台である京都は都会というイメージなので、このチームにしては珍しいなと思いました。今までのような空気が流れるのかなって、最初は戸惑い半分疑い半分でしたね。(笑)しかし本作でもいつものおおらかな空気が流れていたので、いままで感じていた時間の流れ方は、場所のせいではなく、人が作り出しているのかなと改めて思いました。控え室でも、今回女性が多かったので、会話を聞いているとずっとお菓子の話で一日が終わることもあるんです(笑)。だから、意外とガツガツとした雰囲気を作っているのは、男性なのかなと思いました(笑)

■役作りの難しさは感じましたか?

加瀬:いつもこのチームに入って思うのは、考え方がすごくおおらかなんですね。今回も台本を読んだ時よく分からなかったんです。で、プロデューサーに、「わかりません」って言うと、「じゃあわかんないままやって」って言うんですよ。普通だったら、分かんなかったら説明したり、怒られたりとか(笑)。なのに、笑いながら、「分かんないままやんなさいよ~」って感じなんですよ。凝り固まっているものをほぐしてくれるというか落としてくれる感じなんで。その人たちと話したり、その人たちに囲まれることで、この空気感が生まれるんだと思います。

■食がすごく印象的だったんですが、なにかエピソードはありますか?

もたい:これまでの一連の映画の中では、色々な食事のシーンがあったんですが、ひとりで食べるってあんまりなかったんですね。今回の映画のテーマでもある、自由に生きるっていうことと、その裏返しでもある孤独でもあるし、(食のシーンは)そういうシーンですね。あとは、小林さんの出す、ビーフカツサンドですね!
小林:カツサンドって普通は豚カツなんですが、京都のカツサンドっていうのは、ビーフらしいんです。それを作って、加瀬さんに出したんですけど(笑)、そのときのエピソードがありまして・・・
加瀬 :打ち上げで、食べ方が変だと言われて・・・。普通、カツサンドは縦に食べるんだ!と、なのにあなた横で食べてたわねって指摘されたんですよ。そしたら、プロデューサーが、「私も現場で(変だって)思ってた」って言うんです。じゃあ現場で言ってくださいよって感じで(笑)。
小林:子供食いみたいな自然な加瀬さんが出てしまいました。
もたい :あぁ~。でも私ね、加瀬さん(演じる)のヤマノハさんって、子供の頃すごく天真爛漫で、好きなものから食べてたんじゃないかと。
加瀬 :宣伝では、そういう役作りだったと言おうと思ってたんですけど…ばらしてしまいました(笑)
もたい :ばらしてしまいましたね~

■松本佳奈監督はどんな監督でしたか?

小林:とにかく初長編映画ということで、すごく頑張ってました。これは、年代によって感じ方は様々ですけど、監督は20代なのに話が、ところどころ大人っぽい台詞だったり、きっと松本監督は悩んでやったんじゃないかと思います。
加瀬 :頑張ってましたし、僕は演出を受けてて、安心できるというか。最初は、(長編映画が)初めてということで、何かあったら助けてあげたいなと思ってたんですが、何事もなく(笑)。助けは必要なかったですね。堂々としてました。
小林:それから、監督は、みんなにとても愛されていました。みんなが応援するっていう雰囲気が現場にはありましたね。照明さん、音声さん、カメラさんみんなで。

■加瀬さんは、プロデューサーには分からないことはそのままでいいと言われたと言っていましたが、監督からはなにかありましたか?

加瀬 :現場は、監督がもちろん仕切っているので、一応通してみて、自分の中に落ちてこないときは、客観的にみている監督に聞いてみたりとかはたくさんありました。

■監督は(現場を)素早くジャッジをしなきゃいけないと思うんですが、初ということで、その辺はどうでした?

加瀬 :普通は、オッケー(のかけ声)が遅れたり、何回もテイクを重ねたりとか多いんですけど、監督はそういうのはなかったですね。いきなり(カメラを)回して、オッケーならオッケーだし。自分の中での基準がすごくはっきりしているんだと思います。

■小林さんにお聞きします。仲の良い小泉(今日子)さんと映画での共演はいかがでしたか?

小林:小泉さんは同じ学年なんです。最初に共演したのが19歳のときで、それからお互い違うジャンルで活動してて、「今日子ちゃんがんばってるな~」っていつも気にしてみてたんですけど、久しぶりに同じ現場になったら、一番大人というか、堂々としてて、頼もしい。私の方が7ヶ月くらい姉なんですけど、完全にもう姉というか(笑)。同世代なので、共感できるものもたくさんありますし。新しい人が入ってくるっていうのが、この映画にとって新たな可能性になるので、よいですね。

■他のキャストの方も映画ではすごく馴染んでいるように見えたんですが、現場でも、雰囲気にすーっと入っていったんですか?

もたい :(永山)絢斗くんは馴染んでたんだか馴染んでないんだか。口数が少なくて、ほとんどしゃべってないですね(笑)。だから、(映画が)出来上がったときに、楽しかったというのを聞いて、あぁ、楽しかったんだ~って(笑)。

■年代的に加瀬さんが一番近いと思うんですが、どうでした?

加瀬 :僕はシーン的に全く一緒になってなくて。たまにすれ違ったときにちょこっと話すくらいで、最終的にどんな人だったのか、僕もちょっと…(一同爆笑)あ、でも僕の見た印象だと、スタッフの方と仲良しでしたね。だから、男っぽい人なのかと勝手に想像してました。

■京都が舞台ということで、驚いたんですが、ガイドに載っているような京都とは違いました。新たに発見した京都の魅力はありますか?

小林:今まで、京都は観光で長くても3泊くらいで、お寺を巡ったり、好きな喫茶店に入ったり、それで終わっちゃったりしてたんですけど、今回は撮影でひと月くらい居て、京都も都会なのに何が違うんだろうって考えたら、高い建物がなくて空が広くて、よかったですね。古い街並だけど、いつも風が通っていて、新鮮で。お寺だけではない、人の暮らしとか、通り過ぎていく感じとか風通しの良い街だなと。あと私は個人的に喫茶店が好きなんですが、東京では今、カフェが多くなっていて、喫茶店というお店が少なくなっていると思うんですけど、京都は喫茶店が多くて、撮影のないときはよく行っていました。
もたい :京都と聞いたときは私もびっくりしたんですけど、(完成した映画を)見てみると、何も変わらず自分たちの映画になっているなと思って、嬉しかったです。どこにいっても変わらないものっていうのがあって、その中でなにを選択するのかが大切だなと改めて京都で思いましたね。
加瀬 :何度か撮影で京都には行ったことがあるんですけど、今までの映画はガイドブックに載っているような場所だったり撮影所で撮ったり、自分にとっては観光の場でしかなかったのですが、今回のような、京都に住んでいる人たちの生活の場を切り取っているので、観光名所じゃなくて、ここも人が生活しているんだっていう感じでしたね。そういう場所ってなかなか歩く機会もないので、この映画を通して、生活をする場としての京都が見れた気がします。

■現代人は休むのが苦手だと思うんですが、この映画をみているとすごく休みたくなります。自分なりの気の抜き方はありますか?

小林:家に居るときはテレビを付けない!それだけでも随分と時間の流れがゆっくりになるんじゃないですかね。
もたい :そうですねぇ、手の込んだ料理を作ってみる。時間をかけて作ると違う空間に行ける気がして楽しいです。
加瀬 :仕事で海外に行くんですけど、海外(という外の場所)がなかったら、僕もそうなってしまいますね。外から日本を眺めてみると、日本がすごく特殊なんだと思います。勤勉さや、いっぱいもっている先入観…もちろんいい面もたくさんありますけど、ただ、生活とか大きく言うと人生で考えると、(日本人は)楽しみ方が下手だなと思います。ヨーロッパの人たちは本当にうまいんです。楽しみ方をしっていると思うんです。僕はそれを見習いたいなと思います。

■もたいさんは、これまで同様、ポイントとなる役でした。今回は、人と人をつなげる役だと思うんですが、今の時代ってそういう自然なことはできないと思うんですが、演じる上でなにか気をつけたことはありますか?

もたい :気をつけたことはあまりないですが、こうであったらいいなっていうのは考えました。今回はこどもを通じていろんな人が繋がっていって。その子を街全体で育ててるっていうのはいいですよね。一生懸命働いているお母さんを手助けするみたいなもの。誰が無理するとかじゃなくて、当たり前のこと…人が呼吸するのとおなじような感じですね。「忙しいの?」「あ、じゃあみるわね」みたいに、昔のご近所のような、面倒臭さも含めて愛情があるというか。またもう一度取り戻したらより住みやすい世の中になるんじゃやないかなという想いも込めて、おせっかいなおばあちゃんを演じています。

【編集後記】
終始緩やかに、そして、笑顔で進んでいった約30分のインタビュー取材。映画の中と同様にゆっくりと、でも芯の通った話し方は3人とも共通していました。3人の息はぴったりで、小林さんがもたいさんと加瀬さんにお話をふったり、撮影中のエピソードを3人で楽しそうに話している姿から撮影現場の空気感がそのまま伝わってきました。
途中、加瀬さんが真剣に答えている横で、もたいさんが用意されたお水のストローの袋で遊んでいる姿が…。すかさず、小林さんが「なにやってんの!?」と突っ込みを入れていました。信頼感と安心感、とても強い絆で結ばれているチームなんだと感じた瞬間でした。

[report by トミー]

公開日

2010年10月30日(土)

詳細情報

監督 : 松本佳奈
出演 : 小林聡美、小泉今日子、加瀬亮、市川実日子、永山絢斗、光石研、もたいまさこ

劇場情報

【映画館】ミッドランドスクエアシネマ 他
【電話】052-527-8808
【休業日】なし

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