「私の優しくない先輩」 名古屋キャンペーン

2010年7月27日 コメントがありません by 名古屋アートライフ編集部

現在、伏見ミリオン座ほかで公開中の「私の優しくない先輩」の取材が、先日名古屋市内で行われました。実写初監督作品という山本寛監督(「鈴宮ハルヒの憂鬱」)と主演の川島海荷さん、そして、友人役を演じた児玉絹世さんのインタビューをお届けします。

■今までアニメーションで撮っていた監督が、実写を撮るというのは、プレッシャーがあったと思うんですが、どのようなプランで撮っていったんですか?

山本寛監督(以下、監督):逆にプレッシャーはなかったですね。完全に新人監督だ、ということで、アニメの方がプレッシャーはかかりますね、期待を頂いている分。
一方で、映画の方では僕は無名な人間なので、本当に新人監督が“頑張るぞ”という、初心にかえった気分で撮りました。
実写をやるからには、アニメの人間だからというこだわりは捨てて、アニメの方法論は置いておいて、まっさらな気持ちで、気構えで、実写に臨もうと思ったので、そいうたった意味での気負いとか力みはなかったですね。

■今までアニメーションで撮っていた監督が、実写を撮るというのは、プレッシャーがあったと思うんですが、どのようなプランで撮っていったんですか?

監督:自然にできていたものですね。あのシナリオは実はそんな感じだったんですね。
僕のアイディアというより、シナリオに盛り込まれていた。
いろんなところで言ってますけど、よくアニメっぽいとは言われますが、アニメでは出来ない表現なんですね。
もしアニメで出来るならもう出来ていると思うんです。
ではなくて、実写でチャレンジしたというのは、シナリオ自体がアニメっぽいけどアニメにはならない作り方を要求していたと思うんです。
かなりそれにひっぱられて自分でバランスをとるのが非常に難しかったんですけど、最終的には、何だろう…かなり当日まで悩んだり、当日になって“あ、違う”って思って直感で変えたりした部分も多かったんですが、徹底して、自分の手癖の部分、知らず知らずのうちにアニメの演出法になってしまうのをなんとか抑えて撮り切ったつもりです。

■川島さんに質問です。最初にシナリオを読んでどういう風に演じようと思いましたか?

川島海荷(以下、川島):とにかく私は、ラブコメが初めてで、コメディが苦手分野なので、どうしようと思いました。
コメディを自分の中でどう作り込んでいこうっていうのはすごく考えました

まずはプライドをなくして、とにかく思い切りやろうと思って、鏡の前で表情筋を練習しました。
カメラの前でやっていくごとに、だんだん、この映画のノリというか雰囲気が分かってきて、不破先輩との掛け合いの部分とかも分かってきた気がして、撮影が進んでいくごとに、うまく演じ分けが出来るようになりました。

■撮影が始まって、監督からはどんな演技指導があったんですか?

川島:うーん。宙に浮くシーンがあって、つま先立ちをするんですけど、そこで手をつけるのは、監督の(アイディア)。
監督:あぁ、こういうの?
川島:空を飛ぶポーズっていうのは、お話していました。基本的に世界観…監督の世界観っていうのは、イメージが出来上がっていたので、そこに入り込むというか・・・楽しかったですね。(監督が)実演してくださったりとか。耶麻子の表情を実演してくださったりとか。
うーん。
監督:本当に楽しんだのか!?
一同笑い
川島:楽しんだんですけど、撮影のこと思い出せなくなってきました!
なんだろうな。撮影期間は勉強の連続だったので。例えば、ワイヤーのシーンとか、初日から雨のシーンだったり、この映画はリアルとコメディのシーンが真反対、ジャンルが全く違うので、そこの切り替えが難しかったです。順撮りでもなかったので。
この気持ちは、忘れないように、気をつけました。
すいませんほんとに、うまく言えなくて。

■初コメディということでしたが、初めてのミュージカルや歌はどうでしたか?

川島:楽しかったです!初めてのことってすごい挑戦なんです。
でも、初めてのことをやることによって、学ぶことも多いので。
ミュージカルや舞台はやったことがないので。ダンスとか楽しかったです。
演技の延長線上のダンスも面白かった。

■ダンスの練習はかなりしたんですか?

川島:しましたね。特に最初のダンスは、その日の朝に振り付けをして、練習しながらの本番って感じでした。

■はんにゃの金田さんとの掛け合いが多くありますが、実際現場ではどうだったんですか?打合せしてからやったのか、リハを重ねたのか、それとも本番で合わせたのか。

川島:とにかく一回、リハーサルで思いっきりやってみて、うまくいきそうならそのまま本番で、噛み合わなさそうなら金田さんが調整してくれました。金田さんは芸人さんなので、やっぱりうまい。コメディは本当にうまくて、引っ張っていってくれました。

■監督はどうでした?もっと抑えて欲しかったとか・・・

監督:好き放題やり散らかしてくれたんで(笑)。
だめなときは抑えるからって言って、抑えのテイクも撮ったんですけど、一番はっちゃけてるテイクを全部使ったので、本当にキャスティングの妙といいますか。

■金田さんのオンとオフは?

川島:変わんないですねー(笑)
児玉絹世(以下、児玉):変わんないですねー(笑)
監督:ずっとうざいみたいな(笑)
川島:不破先輩!?みたいな。不破先輩=金田さんって感じでした。
監督:とはいうものの、僕と2人の時は落ち着いていましたよ。
気が使える、真面目で優しい方でしたね。現場の隅々にまで気を使う。彼ね、忙しいヤツ…ヤツっていったらあれなんで(笑)、方なんで、寝てないんですよね。だから休憩時間に寝ててもいいのに、キャストやスタッフのみんなを笑わせたり、そういうのを積極的にやってたんです。感心しました。

■ウザいキャラを、よりウザくみせるために、演出でこだわったところは?

川島:汗ですよ、絶対!
監督:金田さんって、きれいなんですよ。吉本イケメンランキングで…何位だっけ?…に入るくらいだから。汗を吹き付けて、髪ぼさぼさにして、シャツを汚してみたり…。
10月の伊豆で撮ったんですけど、寒いんですよ、夜とか。
そんな中で「ごめんねー」とか言って水を吹き付けて、「冷たい~」とか(笑)
汗を中心に暑苦しさを出しました。
程よくキモくてで程よくキレイ。
それは僕にとってラッキーなことで、あんまり暑苦しくなると、後半不破がすごくいいヤツになるんで、彼の本来のかっこよさが出たと思います。

■川島さんに質問です。金田さんなんで、まだきれいに見えますが、実際にああいう人がいたらどうですか?

川島:絶対近づかない(笑)結構、見た目からだと近づきにくいですね。
ただ、不破先輩はキャラが濃くて目立つ存在だと思うので、聞きながら笑ってると思います。影で見てます。ただ、近づけないです。積極的には話しかけられないです。

■得意なタイプではないですか?

川島:ちょっと得意なタイプではないですねー(笑)ごめんなさい。ごめんなさい(笑)
でも、不破先輩って中身は優しい先輩なんで、実際そういう人がいるのかなと思うと、話しかけてみようかなと思ったりします。

■川島さんと児玉さんに質問です。この映画を女子目線で見ると、女の子のずるいところが結構あるんですが、わかるなぁと思うところはありますか?

川島:まさに、あのシーンだよね。喜久子が愛治先輩から告白されたんだけどっていうところの、耶麻子の妄想は女の子誰しもが思ったことがあると思います。
児玉:うわべでは、なんでもないよとか接しながら、心の中ではひどいことを考えていたりとかはあるんじゃないのかなと思います。
川島:特に耶麻子は喜久子に対して、うわべだけの“友達だよね”とか、この映画ではリアルに妄想としては描かれている。自分の好きな人が取られたって思うと嫉妬みたいなものも生まれるし。
監督:崖から突き落とす…?
川島・児玉:あれ怖かったよねー!!!!
児玉:事前に崖に行くことを聞かされていなくて。“次、あそこに立つから”って言われたのが絶壁の崖で、私ギリギリに立ったんですけど、私と海荷ちゃんとスタッフさん3人くらいしか行かなくて…みんな安全な場所にいて(笑)
監督:応援でね。頑張れよーとか言いながら(笑)
児玉:みんな安全な場所で…
監督:安全じゃなくて、あれは望遠で撮りたかったの!!(笑)
児玉:でも、カメラマンさんは“僕は怖いからここにいる”って言ってました(笑)
川島:私も、(児玉演じる喜久子を)押す瞬間は怖かったです。
児玉:リハーサルでは、軽くタッチした感じだったのに、本番では、思いっきりガシッとされて、ビクッってなって。あそこは、妄想のシーンなので、喜久子は普通にしていないといけないのに、怖さが出てしまって、膝が曲がってしまって、自分の反省点です。すごい思い出に残っています。

■なんで本番では、ガシッっと掴んじゃったんですか?

川島:力んじゃったんですよ。本当に怖かったです。入り込んじゃって…
監督:あぁ、本性が?
川島:違います!!(笑)
気合が入りすぎちゃって、押しすぎたなぁって(笑)。本当にリハーサルより押しすぎて、カットが入った瞬間にワーッってなりました。
児玉:怖かったです。
川島:力みました~!!

■キャスティングが印象的だったんですが、キャストが決まる過程はどうだったんですか?

監督:僕にとったら、“芸能人さん”ですし、住む世界の違う人をキャスティングするということで、どうすりゃいいんだろうって思って四苦八苦してたんです。
全キャストに関して揉めたんですよ、で、いろんな提案があった中で、最後は直感です。
川島さんに関しても、プロデューサーが色々持ってきてくれたプロフィールを見た中で、“川島海荷”っていう子がいて、もちろん、存じてはいたんですけど、カルピスウォーターのCMの最後“ガキっ!!”ていう啖呵を切るのが印象的で。
そういえば耶麻子って不破に悪態つくよなぁって。
金田さんもそうなんですけど、お笑い芸人どうですか?って言われたときに、金田さんはそういえば、ヘタレ学生コントやってるなって思って。どんどん決まっていきました。
僕は、キャスト運がいいですし、作品が彼らを選んだっていうのもあります。

■小川菜摘さんや高田延彦さんについてはどうですか?

監督:お父さんに関しては、演技力より存在感なんですよ。
語弊があるかもしれないんですけど、演技力はないけどっていう人を探してて、イメージで言うと、高倉健さんのような技巧派ではない、味で持っていく役者さん。役者じゃなくてもいいと思っていました。
屈強なふたりから病弱な耶麻子が生まれるとは思えないんですけど(笑)、典型的な父母より、普段バラエティでかしましい小川さんに、あえて優しい母親を演じてもらった方がリアルなんじゃないかと。

■川島さんと児玉さんに質問です。映画を見るとすごく楽しい雰囲気が伝わってきますが、実際の現場はどうでした?

川島:楽しかったです。とても。
最初はお互い遠慮してたんですけど、映画が楽しい雰囲気だったんで、だんだんと笑いが絶えなくなりました。金田さんも盛り上げてくれたし、女子同士なんで、楽しい話をしたり。児玉ちゃんも年上なんですけど…20歳なんですよ!なのに、失礼ですけど、同い年みたいに近い感じがして、楽しかったです。

■ナレーションの演出は?シナリオにはあったんですか?

監督:うっとうしいですよね、あのナレーション(笑)
川島:頑張ったんですけどね~(笑)
監督:シナリオ…というか原作通りです。僕は、ウザいくらいで丁度いいと確信しています。ナレーションは、まさに心中語で、自意識過剰な耶麻子という、ちょっと世間を斜に構えてみてる、自分の妄想に耽っている女の子。
妄想癖があるくせにリアリスト。思春期の自意識過剰な女の子ですから、うざいくらいの心中表現は必要だと思ったんです。
あれ聞いて、なんで思ってることを全部語ってんだよ、と思うとおもうんです。でもそれが、リアルなんです。モノローグだから。
だんだんとモノローグが減ってるはずなんです。心で思ってることが、不破先輩や喜久子、愛治…いろんな人間と触れ合う中で彼女にとってのリアルとぶつかるんですよ。
饒舌すぎる耶麻子のモノローグが生の声に変わるんですよ。それが不破との付き合い。
あそこでむにゃむにゃむにゃむにゃ考えていた自意識過剰の会話が、自分の口から吐き出されるんですよ。僕が意図していたわけではなくシナリオにあった。見事です。
最初の10分でナレーションに耐えられなければ、映画に負けたということです(笑)。
仕掛けとしては見事だと思います。

■ナレーションの演出は?シナリオにはあったんですか?

川島:耶麻子が思っていた、“親とは血がつながっているだけで(自分の)本性を(親には)みせない”という気持ちは切なくなりました。
私は家族と仲がいいんで、そう思ってたこともあったのかな?と考えました。
でも、口に出して言うことじゃないですか?自覚してなかったけど、今映画としてみると切ない。
妄想の中で、お父さんとお母さんと手が離れていったりとか。
ナレーションは私たちの年代のみなさんに、共感できることを言っていると思います。

■児玉さんはどうですか??

児玉:私自身が、喜久子タイプなんです。本当に思っていることを言えないし、相手に何か言われれば、そうだよねって素直に聞いちゃう。喜久子タイプって結構いると思うんですよ。どちらの気持ちも分かるけど、この映画をみたら、きっとどっちかに共感できると思います。
川島:耶麻子は冷めてるよね。
児玉:冷めてる。
川島:でもナレーションがあるからリアル。心の声はやってることと違うというか…耶麻子は憎めないんです。かわいらしいなって思う。

■怖いところもある?

児玉:正直者っていうか…
川島:逆に素直!頭の中では不破先輩につっこみを入れてたり。たぶん言いたいんだろうけど、自分はこういう人間なんですって作り上げている。中では違うことを思ったりして、空回りしている、かわいらしい女の子だなって思います。

【編集後記】
始まる前からテンションが高かった3人は、インタビュー中の息もぴったり!
撮影中のことを思い出して、笑ったり、自分自身を振り返ったり、終始笑顔の絶えない取材でした。
出演者の川島海荷さんと児玉絹世さんは、本当にかわいらしい女の子!
始まる前は、普通の女の子ですが、インタビューが始まると、ひとつひとつ言葉を選びながら、真剣に応えていた姿がとても印象的でした。
山本監督は、今作が初の実写映画でしたが、逆にそれがプレッシャーを和らげたそう。
川島さんに時折つっこみを入れながら、会話を弾ませてくださっていて、撮影現場の和やかな雰囲気を垣間見たような気がしました。
[report by トミー]

公開日

2010年7月17日(土)

詳細情報

監督 : 山本寛
出演 : 川島海荷、金田哲、入江甚儀、児玉絹世、永野芽郁、小川菜摘、高田延彦 

劇場情報

【映画館】伏見ミリオン座 他
【電話】052-212-2437
【休業日】なし

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。


シネマ, シネマレポート
※本記事に使われている画像は著作権法第32条で定められた「引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない」という制限の元に引用しており、著作権侵害及び営利目的で使用ではありません。権利侵害にあたると感じられた関係者の方々はご連絡いただければ即刻削除いたします。
Posted by 名古屋アートライフ編集部

名古屋アートライフについて

名古屋を中心とした東海地方のアートやクリエイティブを毎日配信中!
No Ccomments to “「私の優しくない先輩」 名古屋キャンペーン”

この記事にコメントする