「トイレット」 名古屋キャンペーン

2010年9月13日 コメントがありません by 名古屋アートライフ編集部

現在、ミッドランドスクエアシネマほかで公開中の「トイレット」 荻上直子監督インタビューをお届けします。

■監督の映画には、これまでにも美味しそうな料理がたくさん登場してきましたが、
なぜ今回は家族をつなぐ料理として餃子を選んだのですか?

荻上直子監督(以下、監督):今回、家族の距離がバラバラで、距離がぎゅっと縮まるのに、みんなでごはんを食べて欲しいっていう思いがすごくありました。
それもただ一緒に食べるのではなく、一緒に作って欲しいというのもあって、一緒に作れるものってなんだろうと考えた時、私自身も小さい時母とテーブルを囲んで餃子を詰めた思い出があったので、餃子にしようと思いました。

■映画を見て、もたいまさこさんは欠かせないと思ったのですが、もたいさん演じる“ばあちゃん”のキャラクターというのは、監督の案ですか、それとももたいさん自身がばあちゃん像を作り上げたのですか?

監督:脚本は、もたいさんをイメージして書いていて、もたいさんは脚本通りに演じてくださっているのですが、もたいさんが持っている独特の雰囲気や存在感は、もたいさん自身が現場で作ってくださったものです。

■ばあちゃんはファンキーな趣味を持ってるなと感じたのですが、ばあちゃんをファンキーにしようと思ったのはどうしてですか?

監督:もともと、もたいさんにパンクスピリッツのようなものがあると思っているのですが(笑)そういうところから、黙ってじーっとしているばあちゃんだけど、意外性というか、ファンキーな部分があったり、タバコを吸ったらかっこよかったり、やっぱりわたしが憧れるもたいさん像なのかもしれませんね。

■撮影してて嬉しかったですか?

監督:そうですね(笑)。もたいさんは、自分が想像しながら書いていても、現場で遥か上の方からやってきてくれるというか、自分の想像を超えて、おもしろい要素を運んできてくださる女優さんです。

■あえて、もたいさんをおもしろくしているわけではなく、もたいさんが演じたら結果的におもしろくなってしまうということですか?

監督:そうだと思います。決して面白くしてやろうと思ってやっていないと思います。
すごく真面目に映画に取り組んでくださって、その結果、一歩引いてみるとすごく面白くなってたりとか、そういうところが映画の面白いところですね。

■タイトルが「トイレット」ということで、上海万博でも日本のトイレが話題になるくらいすごいものだと映画をみて改めて感じたのですが、
海外での撮影の際は、現地の皆さんの反応はどうだったんですか?

監督 :実際に試したのは、主演の男の子だけで、トロントには実は2つしかないんです。
彼は、そのうちのひとつに行ってくれて、映像とかも撮ってきてくれたんですけど、本当にみんなどんなものかというのは興味津々でしたけど、だれも経験したことがなかったです。

■これを機に海外でも日本のトイレブームが起こるかもしれませんね?

監督:起きたらいいなぁと思ってこの映画を作ったんですけど(笑)なかなか、欧米には浸透しないみたいです。なんで広まらないのかなぁって常々思っているというのもこの映画を作った理由です。

■海外のオーディションはどうでしたか?キャラクターが個性豊かでしたが、選んだポイントは?

監督:オーディションはどこの国でもだいたい同じ要領でやります。
来てもらって、(台詞を)読んでもらって、ここもうちょっとこうしてとかこちらの要望をどれだけ吸収して出してくれるのかっていうのをみます。
今回の主演の男の子は、科学者で、オタクですごく真面目なので、この子自体も真面目な人で、演技に対してすごく真剣。
台本に関してもたくさんの質問をされましたし、そういう真面目な部分がオーディションで見えたので。
妹役の子に関しては、ちょっと言ったことを自分の中で消化して、何倍にもして返してくれる。役者として、天才チックな部分が見受けられました。
あとやっぱり、日本人にウケる顔立ちというか、性格もすごく可愛くて、この2人に関してはすぐに決まりました。

■結構応募があったんですか?

監督:えぇ、どれくらいみたんでしょうか。100以上は…覚えてないですねぇ。
長男役の子は、役柄が変な役なので、自分自身の中にも変な要素を持っている子がよかったんですが、なかなかオーディションには変な子が来なくて(笑)。
あちらのキャスティングディレクターにトロントにはいないって言われて。じゃあ役者さんじゃなくていいからとにかく変な子を探してくれって言ったら、この子がきました。
部屋に入った瞬間から変でした。佇まいが変だったんです。
なんですかね、世の中の見方が独特な子で、彼自身の中にこの役の要素が入っていて、それはすごくよかったです。最後にいい人が見つかりました。

■ピアノのシーンは?

監督:あれは、撮影の1ヶ月前に楽譜や他の人が弾いている映像を渡したり、先生についてもらって、だいたいの指の位置を覚えてもらって。
あとは…体の動かし方も研究してもらって、実際には弾いてはいないんですけど、頑張ってくれました。
こことここだけは弾けるようにしなさい!とか言って(笑)

■猫は日本の?

監督:猫はあちら産…カナダ産の(笑)で…。一応、タレントキャットなんですけど、全然言うこと聞かなくて。お昼ご飯を早めに切り上げて、カメラマンと二人で撮ったりしてました。

■家庭の味というものがあると思うんですが、今回の餃子にはひと工夫あったんですか?

監督:ひと工夫…そうですね。
まずはフードスタイリストの飯島奈美さんに来てもらったことですね。
ひと工夫といえば、脚本の中では、肉を皮で詰めているというところからだったんですけど、飯島さんの事務所に打ち合わせにいったときに、
皮から作っていて、画になるなと思って、奈美さんには色々なアイディアを頂いて、いつも面白いことになってます。

■言葉の壁を越える空気感というものが伝わってきたのですが…

監督:英語とかそういう(言語の壁)ものはなかったです。
もたいさんはもともと変なパワーがあって、ご自分でニューヨークに行って、お買い物をするときに、
スカーフをみて「これの色違いくれる?」って日本語で言っても、相手に通じてしまうパワーがあるのはまえから存じ上げていたので、
そういうもの(言葉の壁)は飛び越えてくれるだろうという前提があって、なので、言葉の壁には心配はなかったです。
お金をもらいにくるシーンも、「もたいさんわかりますか?」と聞いたら「大丈夫、わかるよ~」とおっしゃってくださって、言語を超える何かをもたいさんご自身が持っているんだなと思いました。

■カナダの人たちには餃子は馴染みのある食べ物なのですか?

監督:チャイナタウンとかあるので、珍しいものではないですけど、もう少し皮が厚かったりします。

■みなさんの感想は?

監督:飯島さんの作った特別な餃子なんで、人生で一番美味しかったと皆さん言ってました。

■餃子を通して現場が和みました?

監督:いや、和むっていうか、逆に取り合いになって(笑)、バトルがありました。

■もたいさんと海外キャストのコミュニケーションはどうだったんですか?

監督:これは、きっともたいさんが考えてそうしてくださったんですけど、前半は自分の娘が亡くなって、かわいくもない孫が3人いて、
すごく孤独感があるおばあさんだと思って、もたいさん自身が撮影中はあえてこの3人と距離を置いて下さったのだと思います。
で、もたいさんが距離を保ったことによって、もたいさんが現場に入ってくると、空気がぴりっとして、みんなに緊張感が走って、
撮影スタッフも背筋がピンとなる感じをもたいさんが作ってくださいましたね。
もたいさんは本当にいい方なので、3人は撮影が終わったときに一緒に仕事できてよかったーって言ってましたけど、最初は怖いって言ってました。

■トイレに着目されていますが、どのように物語を作っていったんですか?

監督:日本の最新のトイレをネタにしようと思ったときから、最後のシーンが頭に浮かんでしまい、
それをやるために前半の100分近くあぁだこうだと構築しました。
ため息の謎とか。インド人にあっさり教えられるところとか…乾いた雑巾を絞るような感じでアイディアを出しました。

【編集後記】
独特の空気感で私たちを心地よくしてくれる映画を作る監督。(失礼ながら)一体どんな変わり者なのだろうと、お会いする前はドキドキしていた。
会場に入ってきた荻上直子監督は、腰が低く、物静かな人という印象だった。
しかし、映画の話になると、楽しそうに語る姿が印象的で、ゆっくりと撮影中のことを思い出しながら色々なエピソードを丁寧に話してくださいました。
監督の温厚で、楽しいことを頭の中であれこれ考えている人柄が映画にもとても反映されているなぁと感じました。
[report by トミー]

公開日

2010年8月21日(土)

詳細情報

監督 : 荻上直子
出演 : アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、ディヴィッド・レンドル、もたいまさこ

劇場情報

【映画館】ミッドランドスクエアシネマ 他
【電話】052-527-8808
【休業日】なし

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