【鑑賞ガイド】学芸員さんにインタビュー!「華麗なる近代洋食器の展開―オールドノリタケを中心に―」の見どころとは?
岐阜県現代陶芸美術館で現在開催中の「華麗なる近代洋食器の展開―オールドノリタケを中心に―」。名古屋アートライフでは、この展示の見どころを押さえるべく、同美術館の学芸員さんである山口さんにインタビューをしてきました!

Interview

―今回はどのような展示なのですか?
「本展覧会では、明治時代末期から昭和初期に海外へ輸出された洋食器と昭和初期に国内市場向けに生産された洋食器が展示されています。
実は、日本の洋食器のスタートは、海外への輸出のためだったんです。
ですから、明治から昭和初期の洋食器は、欧米で好まれるデザインが基本。
当時は、海外でどんなニーズがあるのかを知ることが重要でした。
そこで、近代的手法で洋食器生産に着手することになる森村組(後に現在のノリタケカンパニーとなる日本陶器合名会社を設立)メンバーはニューヨークへ渡ったんです。
在米メンバーが欧米での流行をキャッチし、デザインをする。
そして日本のメンバーがその図案をもとに生産する、という形がとられていました。」

―図案を見ただけで作ることができるのですか?
「その図案が・・・かなり正確で、細かいんです。見ただけで絵柄や技法の詳細がわかるほど。本展覧会ではこの図案も展示しています!今回の見どころのひとつですね。」

―図案を見ると、本当に細やかにアメリカでデザインされていたことがわかりますね。
「横隅に名前が書かれているのがわかるでしょうか?これは、この図案は誰が絵付けするのかという指示。窯屋ごとに得意なスタイルがあるので、絵付けをする画付け工場もアメリカからの指示があったようです。」
―えっ、断ることもできないんですか・・・?
「当時は『米状神聖』が社訓で・・・。これはアメリカからの手紙や通達は、すべて“神の言葉”として絶対に守りなさい、ということ。指定された画付け工場は、この図案を見て正確に現物化していったんですよ。」
―ひとつひとつ手描きなんですよね?
「そうなんです!手描きなのに量生産ですから、クオリティの高い職人さんが多かったのだと感じさせられます。」

―繊細で正確な絵柄・・・、当時の技術の高さに圧巻ですね。背景を知ると、展示を見るのがますますおもしろいです!ところで、日本ではどのように洋食器は発展していったのですか?
「海外輸出をメインにしていた洋食器ですが、1929年の世界恐慌を境に状況が一転します。海外で日本品の締め出しが始まり、海外市場から日本の市場へとマーケットを転換することになったんです。
加えて、当時は西洋の文化が日本にどんどん入ってきた時代。食文化にも変化があり、洋食器のニーズもちょうど高まってきた時でした。」

―やっと日本にも洋食器が・・・。逆輸入、みたいな感じですね。
「といっても、今までの海外へ輸出していたものそのまま、ではありません。日本人の家に合うサイズ、デザインが考えられました。
日本の洋食器はいいとこどり、といった感じですね(笑)。洋風と和風がうまく融合しているんです。
わかりやすいのがティーカップ。海外ではティーカップといえば、低くて口が広いものになりますが、日本のティーカップは、コーヒーカップとティーカップの中間の大きさなんですよね。
他にも、日本の家の狭さを考慮して、スタッキングできるようにデザインしたり、日本の洋食器のスタイルが徐々に確立されていきました。
この頃のデザインが、現代の日本の洋食器のベースとなっています。
本展覧会では、輸出時代の洋食器から、日本で売り出された洋食器と、洋食器の歴史の変遷を辿ることができますよ。」
―日本の洋食器の歴史の深さを感じられそうです。『ここを見るとおもしろいよ!』というおすすめはありますか?
「これはノリタケのものですよ、という証でもある、食器の裏に印された、裏印に注目していただくとおもしろいと思います。
裏印のデザインは社にひとつというところが多い中、ノリタケは相当数の裏印があり、
結果としてこれによってどの国にいつ輸出したかを判別することができるんです。」

―わぁ、かわいい裏印もたくさん!統一性のあるデザインかと思いきや、多種多様な裏印ですね。
「えぇ、どのマークも深い意味がきちんとあり、デザイン性も高いです。
NIPPON、JAPANと日本の表記が異なるものもあったり・・・。
ある裏印の食器のみを集めるコレクターもいるそうですよ。」
―なるほど、今回の展示、知れば知るほど、洋食器のおもしろさにはまっていきますね!
「今回の展示は、私たちが普段使っている洋食器がどのような歴史を歩んできたかが、よくわかると思います。食器は私たちの生活につながっているものなので、馴染みやすく、おもしろいのでは。
ノリタケファンはもちろん、今まで食器に興味がなかった人も楽しんでいただきたいです!
昔の日本にもこんな高い技術があったんだ!と感じてもらえればと思います。」

本展覧会のおすすめ
★洋食器、ノリタケの歴史をチェック!
その長い歴史を知りながら見ると、本展覧会がより味わい深いものに。
★当時の貴重な図案をチェック!
正確で美しいデザインは、実物の食器と同様に目を奪われます。
★それぞれの食器の裏印をチェック!
展示をさらに楽しむことができる裏印。それぞれの展示品につけられている展示説明にどんな裏印がついているのか記されています。
取材を終えて・・・
洋食器、ノリタケの奥深~い歴史を感じる今回の展示。
学芸員さんのお話はとても興味深いことばかりで、取材中「へー!」「えー!?」を連発・・・。
昔のものでも、かわいい!と虜になってしまうような食器もたくさんあり、デザインレベルの高さを感じました。もちろん「これ手描きなんだ!」と技術にも感心。驚きやおもしろさがいっぱいある展示でした。
ぜひ足を運んで、実際に展示を見てくださいね!
(編集員/大島清花)
スケジュール
2011年4月23日(土)~8月21日(日)
詳細情報/イベント情報
華麗なる近代洋食器の展開―オールドノリタケを中心に―
会場情報
会場:岐阜県現代陶芸美術館
住所:多治見市東町4-2-5 セラミックパークMINO内
TEL:0572-28-3100
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日(月曜日が休日の場合は翌平日)ただし5月2日は開館
観覧料:一般500円(450円)、大学生400円(350円)、高校生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
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